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紀伊半島滝百選の旅

日本滝百選の内、10個が紀伊半島にある。このうち既訪問の「那智の滝」,「赤目四十八滝」および、徒歩片道3時間かかる大杉谷の「七つ釜の滝」、登山の心得がいる「双門の滝」を除く6つの滝を観光した。
はYafooの地図です。適宜縮尺を変えて付近の道や位置関係を確認ください。


滝名場所 徒歩の高低
52布引の滝三重県紀和町0m
63不動七重の滝奈良県下北山村0m
64笹の滝奈良県十津川村50m以下
65中の滝奈良県上北山村@大蛇ーなら50m以内,A滝見台までは500m程度下り
67桑ノ滝和歌山県新宮市50m以下
68八草の滝和歌山県日置川村0m


2004年8月13日 2004年8月14日
  • 8月13日4:00 名古屋発
  • 東名阪自動車道名古屋西IC→針IC→吉野町→大台ケ原駐車場→徒歩50分大蛇ー
  • 9:17 「中の滝」遠望
  • 大蛇ー→大台ケ原駐車場→不動七重の滝
  • 12:05 「不動七重の滝」
  • 不動七重の滝→奥瀞峡→瀞峡→布引の滝
  • 15:16 「布引の滝」
  • 布引の滝→桑ノ木滝
  • 16:17 「桑ノ木滝」
  • 桑ノ木滝→国道311号線→中辺路(熊野古道)→白浜温泉
  • 8月14日 白浜温泉9:30発
  • 白浜温泉→日置川町
  • 10:31「八草の滝」
  • 日置川町→本宮町
  • 11:10 熊野古道「本宮大社」
  • 熊野本宮大社→十津川村→笹の滝
  • 14:30 「笹の滝」
  • 笹の滝→谷瀬の吊橋
  • 15:46 「谷瀬の吊橋」
  • 谷瀬の吊橋→吉野町→針IC→名古屋西IC→名古屋帰着21:00
  • いつもの旅行に比べて以外と早い帰着。
名古屋から和歌山県上北山村へ
名古屋を午前4:00発。
名古屋西ICから針ICまでとばし、そこから南下して、吉野町で国道169号に入る。
出発時ガソリンがメーターの半分位だったが、足りるとふんで大台ケ原を目指した。が、登山口直前で給油ランプが点灯。たしか吉野町を出てまもなく「ここから35kmガソリンスタンドがありません」という看板が立っていた。この辺りの国道169号はとても良い道だが、民家がほとんどない。ましてガソリンスタンドなんて。しかたがなく大台ケ原登山口を通り越して心細くガソリンスタンドを見つけに南下。まだ7:00前。たとえスタンドがあっても1時間以上開くのを待つしかないと覚悟をした。すると幸運にも「吉野道上北山道の駅」直前に小さなガソリンスタンドがオープンしていた。
給油後ほっとして169号を戻り大台ケ原へと向かう。途中朝食で立ち寄った山小屋風食堂のマスターによると、大台ケ原ドライブウェイは、しばらく山崩れで通行不能だったが、昨日の17:00に復旧したばかりとのこと。ラッキー。

大台ケ原の 中の滝

大台ケ原は良い遊歩道が整備されている。「しおから谷」や山頂経由でなければ、駐車場から広くなだらかな歩道を1時間程歩けば「牛石ケ原」経由、絶景の「大蛇ー」に到達できる。

すばらしいパノラマの中でしばらく「中の滝」がどこかわからなかったが、目が慣れると遥かな山肌にそれを発見できた。落差250mある滝なのだが、実際に見えるのは上方50m位か?入山禁止の滝見展望台で全貌を見れるらしい。ただしもう1時間程かかるとのこと。

この地図は等高線は50m単位である。山頂あたりは非常になだらかなのに、山腹は崖に近く急峻であることがわかる。大蛇ーから西にある東ノ川まで等高線が20本あり、1000mの崖だ。「シオカラ谷」から「中の滝」に向かう道は立ち入り禁止で、「中ノ滝」正面まで行こうとすると約500mの急な坂を降りないといけないようだ。但し、今回通った上記の「楽な道」の道は駐車場から「大蛇ー」まで殆ど起伏がない。「シオカラ谷」経由で「大蛇ー」に行く方法もあるが、「中の滝」方向に向うのでなければ、単にきついだけで谷に下りても特に見るものはない。なお山頂の「日出ケ岳」経由の道も起伏が100m程度しかないため比較的楽である。

牛石ケ原

大蛇ーから、1000m級の絶壁がみえる。左は「西ノ滝」

2004年8月13日

中の滝(まるで航空写真のようだ)

上北山村から下北山村へ
大台ケ原を降りて、国道169号を南下する。往復で2車線のとても良い道。ただし大阪、奈良方面から 新宮、尾鷲等に抜ける山間のまともな道は少ないのか、特に三重ナンバーの車がこのくねった道を高速で走っている。 山道に慣れない都会のドライバーは、後方から追い立てられて危ない。あせらずに後続車にぬかせることが肝要。
後日談:2005年秋に再度大台ケ原に行き中の滝方面及び日出ケ岳頂上に向ってみた。中の滝へはシオカラ谷の立入禁止の柵の横を抜けていくことができるがとても危険なので途中でその時の相棒(T氏・S氏)のことを考え引き返した。正木ケ原〜日出ケ岳は熊野灘が見える美しいところである。

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下北山村の 不動七重の滝

滝へのルートはカーナビでは検索できず、地図を熟視し、池原貯水池脇の曲がり角をみつける。 ここは八剣山の登山口にもなっている。 ここからがひどい村道。舗装道だが、多々道や崖が崩落している。狭い道を落石をよけながら墜落しないように運転する。まだかまだかという気持ちで約10kmも運転するとようやく滝の見える展望所(?)に着く。
滝を鑑賞している人はだれもいない。しかし気苦労しただけ、対岸にあるこの勇壮な滝が目に入ったときの感動は大きい。くれぐれも大雨の後は危険なので行かない方がいい。
落差100m7段の滝。

2004年の台風で滝壺が土砂に埋まったとのこと。この土砂を取り除く方法がなく、自然に流れ出るのを待つしかないらしい。景観が戻るのは4〜5年後だろうとのことである。

不動七重の滝

2004年8月13日
下北山村から紀和町へ
国道169号に戻る。カーナビを「布引の滝」付近にセットできた。ただし、カーナビが示す道は「東熊野街道(国道309号)」で熊野市→国道42号新宮経由という海沿いの遠いルート。最短距離であるはずの山間の169号は示されない。

たしかに熊野市五郷の分岐点から169号は1車線の狭い林道。けれども途中に「おくとろ」という道の駅がある。さらにここは行楽客であふれている。多くの車がこの離合困難な道を走っているようだ。ここは「奥瀞峡」「瀞峡」という、美しい峡谷だったのだ。この「道の駅おくとろ」の刺身定食(1260円?)は美味。山間とはいえ、一山越えれば熊野灘。とてもお値打ち。

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きらずの森の 布引の滝

国道169号は、熊野川を横切る狭い橋の先で国号168号につながる。「国道の番号が1減るだけで」と思うくらいの良い道。熊野川町日足で左折し熊野川を横切る橋を渡る。その後は「布引の滝」の案内板があちこちにある。道は相変わらずの狭小。対向車がこないことを願うばかり。
約11kmぐらいか、急な山道に差しかかって、ひとつ滝を越しさらに進むと、左対岸に目が覚める美しい滝が現れる。これが「布引の滝」。狭い坂道に車を停めて鑑賞。
落差53mとのこと

長い年月をかけて熊野花崗岩の岩盤を削り取ってできたもので、滝は4段からなっている。日本の滝100選にも選ばれたこの布引の滝の名称の由来は、その名が示す如く滝の水の流れが大巾の布地を垂らしたように音もなく、飛沫も立てずに流れ落ちる様からついたものであり、また付近一帯の森は「きらずの森」として自然のそのままが守られている。(1段目12m、2段目3.5m、3段目7.7m、4段目29.1m)(紀和町のホームページより)
2004年8月13日

布引の滝

紀和町から新宮市へ
紀和町から新宮市へは、熊野川の広く美しい川原に沿って国道168号を下る。道はとても良い。途中「雲取温泉」の看板を右折。それからようやく「桑の木滝*m」という看板が現れる。

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神秘的な 桑ノ木滝

民家が数件あるところに「桑ノ木滝」の入口があった。みやげ物店もなにもない。あるのは「お手洗」の看板ぐらい。
ここで路肩に車を停め、細い橋を渡り、その先の墓地の裏から林に入っていく。ここに本当に滝があるのかと思ってしまう。新宮市に入ったときはとても蒸し暑かったが、林に入った途端に涼しくなる。とりわけ「カナカナゼミ」の大合唱に感動。秘境ムード満点。途中吊橋もある。さほど良いとはいえない歩道を約20分進む。短い鎖場もある。滝の音はするが、どこまでいってもそれが見えない。
木の階段を登って大きな岩をまがった瞬間、ついに幻想的で美しい滝が現れる。しかしその「木の階段」が終点で、そこからは、一人ずつしか滝が見えない。

桑ノ木滝

この滝は格別に感動した。しかし「滝百選」に選ばれるまで殆ど知られていなかった滝らしい。帰りに何組かの子づれの家族に遭った。ちょっと危ないので十分注意してほしい。
落差21mらしい。
2004年8月13日

熊野古道中辺路

国道168号を戻り本宮町から国道311号線へ。それはとても良い道。この国道にまとわりつくようにくねって走る旧道の一部と、さらにその旧道が世界遺産に登録された「熊野古道中辺路」。あちこちに「熊野古道こちら」という看板がある。まだ明るかったのであちこち立ち寄ってみた。新しい国道が谷底を通っているのに対し、熊野古道はかなり高所を通っているところが多い。

途中日本百名水でもある「野中の清水」をペットボトルに汲み運転の友に。熊野古道を実際に歩いてみたかったが、時間の都合上ほんの少しだけ入ってみただけ。この道は「写真では表現しがたい」と思いながら白浜へ向かった。

白浜温泉の夕暮れ

翌日「八草の滝」を見るために、白浜温泉を宿泊地に選ぶ。日は沈んだものの、まだ明るいので、白浜海水浴場へ行ってみた。さほど広い海水浴場ではないが、どのホテルも民宿も満員で、直前に行った高級旅館やホテルが多数閉鎖している石川県の「片山津温泉」とは雲泥の差。夕食を摂った焼肉店も、家族連れやカップルで満員。大阪に近いというだけの理由か?
白浜から日置川町へ
翌日10:00前に白浜温泉を出発した。カーナビで「八草の滝」のあたりをセットすると、こんどは海沿いの広い国道42号線ではなく、山間の「県道上冨田すさみ線」を示している。カーナビが示す道だから良い県道だろうと思いきや、やはりいつもの離合困難な滝街道。

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コバルト色の日置川と 八草の滝

宇津木部落から「県道日置川大塔線」を日置川に沿って下る。日置川は深いコバルト色のとても美しい川。そろそろこの辺りだろうと車を止めると、見落としそうな小さな「八草の滝」という比較的新しい看板が立っていた。ここも駐車場がなかったので、道の片隅に車を停めて対岸の滝を遠望した。

雨季以外は水が見えないというこの滝だが、はっきりと水が流れているのが見えた。写真を原寸大で見ると中央の暗い部分に水が流れ落ちているのが見える。この滝の美しいところは、この遠望だと思う。コバルト色の「日置川」と深い森林の中の岩壁の奥にかすかに見える滝との組み合わせが何ともいえずロマンチック。

八草の滝

相棒は、「たまにしか流れないから百選に選ばれたのでは?」と言っていたが(?)。
落差22m
2004年8月14日

目を凝らすと

熊野本宮大社

国道311号線まで戻り、さらに本宮町まで戻って左折し168号線を北上。これが「十津川街道」。しばらく行くと左手に「熊野本宮大社」がある。これは「熊野古道」の番組では必ず紹介されるもの。
「世界遺産」に登録されたからだろうが、多くの車がここで停車していた。早速車を停めて入口まで行ったが百段以上の石段が目の前に見え気が萎えてしまった。とりあえず入口から写真を撮る。入口の横に大社の写真が貼ってあったのでそれを見て満足することにした。もっと見たい方は是非ともテレビで。

十津川村へ

さて、交通量がとても多い十津川街道国道168号。しかしこの道もほとんどが一車線で狭い。紀伊半島のど真ん中を縦断している基幹道のはずだが。 日本で一番広い村という十津川村に入る。ニ津野ダム湖にへばりつくように民家・旅館が多数あった。普通ダム横の道は寂びれて崖っぷちがあたりまえだが。これが十津川温泉郷。「国道168号線の抜本的整備を」という看板がときどきあった。個人的には、秘境ムードを維持するならこのような道でもいいかなとは思ったが。

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岩床の見事な 笹の滝

入風屋ダムを超えると、すぐに「笹の滝入口」の看板がある。ここを右折して村道を12km。相変わらずの細い道。しかし途中に点々と集落がある。約1kmごとに「笹の滝あと*km」という看板がありとても親切。離合困難の細い道を登っていくと小さな駐車場があり、「笹の滝」という可愛い門があった。

入口から歩いて約10分。美しい花崗岩(?)の岩床に向かって流れ落ちる水量豊かな笹の滝が目の前に。
これまで見てきた滝の中で、初めて観光客で賑わっていた。滝めぐりを終わるにあたって、感動的な美しい滝だ。このすばらしさは、滝そのものとそれを囲む絶壁、そして絶壁から落石したと思われる多くの岩々、その岩々が長年の水流で美しく磨きあがってできたと思われる岩床、そしてその間を澄んだ水が流れ落ちていくところ。
落差32m。

入口

笹の滝

谷瀬の吊橋,そして帰路

紀伊半島の見事な滝々の観光が終わって感動ひときわで帰路につく。

あいもかわらずひどい国道。この離合困難な道を「奈良」や「和歌山」ナンバーの車がびゅんびゅんとばす。都会ナンバーの車はみんな追い立てられている(私はついていけたが)。

地図を見ると「谷瀬の吊橋」というものが途上にある。また標識でも「谷瀬の吊橋あと*km」という看板がある。なにかと思い立ち寄ってみる。するとなんと長さ290m高さ50mもある、歩行者用の頼りない吊橋が新宮川(十津川)にかかっている。すばらしい光景。せっかくなので歩いて渡ってみた。 かなり揺れて、途中で足がすくむ。足元の隙間からは、川遊びにきた多くのキャンピングカーが停まっているのが小さく見える。この時期は片側通行ということだったので、対岸からは一人160円のバスで駐車場まで戻って来る。旅の最後を締めくくるにはとても素敵な吊橋だった。

奈良の五條に向かう途中、山肌がその脇を通る国道168号を巻き込み谷底まで豪快に崩落していたため、一部区間谷底の県道を通った。国道に戻るために、急遽考えられた思われる、川に水を通す何本かの土管を置き、その上に土を盛っただけのお粗末な仮設の橋(?)を渡る。今年の降雨は半端ではなかったのだろう。これまであちこちで通行止めの看板があった。会社へのお土産もこの辺りの道の駅で買い求めた。

カーナビで「亀山IC」をセットすると、またもひどい道を通らされる羽目になったが何とか予想よりかなり早く名古屋に戻れた。
2004年8月14日
終わりに
今回の旅は滝の見物であったが、感動したのはそれだけではなかった。滝から流れ出る川々は、途中で美しい峡谷となり、さらに広い川辺の美しい流れとなり、あちこちで多くの家族がキャンプやバーベキューを楽しんでいた。家族の明るい声、仲間同士での楽しいひととき。この多くの美しい川辺はこのまま残っていってほしい。
なお総走行距離は、936km。

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